こんにちは、消しゴム的存在です。
あなたは、自分が住んでいるまちの役所や役場って、行ったことがありますか?
引っ越しをしたり、住民票を取りにいったり、1回くらいは訪れたことがある方も多いでしょう。
役所には、住民の方々のマイナンバーや各種個人情報、公共事業の入札・契約書類など、極めて秘匿性が高い情報が記載されている書類が山ほど保管されています。
「役所ってお堅そうだし、書類はちゃんと管理してるんだろうな」というイメージを持っているかもしれません。
僕も、市役所で働き始めるまでは、そのようなイメージを持っていました。
しかし、現実は必ずしもそうではありません。
あなたのまちの役所や役場を思い出してみてください。
冷静に振り返ると、「あれ、この人たちが働いている場所って誰でも入れそうじゃない?」とか、「机の上に書類たくさん置いてあるけど整理できてるの?」「土日も開放してるけど、セキュリティ大丈夫?」って思いませんか?
僕は、市役所で働いているときに、ずっと疑問に思っていました。
もちろん、比較的新しい庁舎の場合は、このあたりの対策をしている場合もあるかもしれません。
しかし、昭和の終わりや平成の前半頃に建てられた庁舎の場合だと、はっきりいってセキュリティガバガバな建物が結構あります。
今日は、ある種の問題提起のような話題になりますが、この疑問について書いていきます。
目次
役所のセキュリティガバガバ問題
ここから先は、僕がかつて働いていた市役所をイメージして書いています。
各自治体や、それぞれの施設によって違いはあるので、あくまでひとつの例として捉えていただければと思います。
さて、僕は、5年間、市役所での勤務経験がありまして、「物理的なセキュリティ弱すぎない?」とずっと感じていました。
[voice icon=”https://keshigomteki-blog.work/wp-content/uploads/2019/04/ac187f8554eb5ea799e9e73a626d14f6.jpg” name=”消しゴム的存在” type=”l”]先輩や上司にも訊いたことがあるんですが、あまり本気で捉えてもらえませんでした・・・。[/voice]執務室への侵入がわりと簡単
大きな企業や国の合同庁舎だと、職員証にICチップが埋め込まれており、認証機にかざすとゲートが開いて、出入りのログが残るようになっていたりしますよね。
僕がいた市役所の庁舎は、平成の始めころに建てられたもので、築30年前後だったと思いますが、そんな設備はありませんでした。
役所って、基本的に住民の方が来庁するので、動線などを考えてオープンな設計になっていることが多いです。
部署にもざっくり2つのタイプがありまして、1つ目は、直接住民が訪れる部署(窓口職場)です。
もうひとつは、住民との直接的な関わりがほぼ無い部署ですね。
1つ目の窓口職場には、たとえば、戸籍や住民票を発行する部署や、住民税関係の部署、水道料金窓口や生活保護関係などがあります。
こうした職場は、大体、1階や2階などの利用しやすい階層に配置されており、窓口のカウンターで廊下と執務室が区切られている場合が多いですね。
カウンターの間には、職員が出入りするためのスキマがあることが多く、そこについ立てなどを置いて区切っている場合が多いです。
想像していただくとわかるかと思うんですが、子どもでも割と簡単に乗り越えられますよね。
一方、住民との直接的な関わりがほぼ無い部署にも概ね2パターンあります。
1つ目は、部署ごとに扉や壁で区切られている場合で、わりと古いタイプの庁舎に多いイメージです。
2つ目は、窓口職場と同じように、全体的にオープンな作りになっている場合で、比較的新しい庁舎に多い気がします。
僕がいた市役所も、新しくはありませんでしたが、オープンな作りの建物でして、壁が少なく、部署を区切る扉などもありませんでした。
なので、はっきりいって、簡単に執務室へ入ることができます。
ましてや、土日の開放日などの職員がほぼいない日などは、勝手に出入りしてもわからないような状況です。
監視カメラを設置していない
これも自治体によるかもしれませんが、僕がいた市役所では、監視カメラはありませんでした。
というか、公共施設って、基本的に設置が難しいんですよね。
防犯設備としては役立つ一方で、プライバシーの絡みなど、結構デリケートな問題もあるので、公共施設にはあまり設置されていないイメージです。
なので、何か事件があった時に証拠映像となるものもありませんし、監視カメラがあることによる抑止力も働きません。
平日は職員や来庁者もいるので、それなりに人の目もあるんですが、とくにヤバイのが土日や祝日です。
休みの日は、基本的に窓口なども開いていない場合が多いんですが、庁舎の建物自体は開放している場合があります。
展望フロアや市民ホールなどがあるとなおさらですね。
しかし、開放しているとはいっても、警備員が巡回している程度で、人の目は激減しますし、監視カメラもないわけですから、セキュリティ的にはかなり低い状態になります。
考えられるリスク
このように見ていくと、「役所って結構危なくない?」と思いませんか?
僕がとくにリスクだと感じているものに、「放火のリスク」と「盗難のリスク」があります。
放火のリスク
まず、放火のリスクがいちばんヤバイと思っていまして、実際に放火される事件も起きていますよね。
2013年の宝塚市役所での放火事件は、報道でも大きく取り上げられていた記憶があります。
こちらのまとめサイト(NAVERまとめ)に概要が載っていますが、税金の督促をめぐって引き起こされた放火事件だったようです。
この事件のように、とくに税金まわりに関しては、住民の方から恨みを買ってしまうような場合もあります。
さらに、役所や役場に言ったことがあれば想像していただけるかと思うんですが、やたら紙の書類が多くないですか?
ペーパーレスを進めている自治体も増えてきてはいるんですが、とはいえすぐに紙の書類がなくなるわけではありません。
どの職場にも、相当量の紙の書類が置いてあるはずです。
さきほどの宝塚市役所の事件では、火炎瓶が投げ込まれて、容疑者もすぐに取り押さえられたので、犯人探しはなかったようです。
しかし、上記で書いたように、物理的なセキュリティはかなり低いので、たとえばですが、こんなシナリオで放火されたら、犯人を見つけられないんじゃないか?と思ってしまいます。
[aside type=”boader”]税金を督促されて市に恨みを持っているAが、放火をしようと企んでいた。市の庁舎は、土日も市民向けに開放しており、自由に出入りできる。夕方の閉庁間際になると、一般の来庁者や土日出勤している職員もほぼいなくなる。せいぜい守衛がたまに巡回している程度だ。プライバシー保護の問題から、庁舎内に監視カメラはない。Aは、人がいない時間帯を狙って、税窓口のカウンターを乗り越えて、執務室に侵入した。Aは、山積みになっている書類の間に、火をつけたタバコの端を差し込んで、何食わぬ顔で出ていった。火がついたタバコは徐々に短くなり、ついに書類の束に引火してしまった・・・。[/aside]当たり前ですけど、絶対に真似しないでくださいね。
でも、僕がいた市役所でこれをやられたら、たぶん犯人は捕まらないんじゃないかと思います。
さすがに消火設備はついているので、庁舎が焼け落ちるなんてことにはならないと思いますが、油をまいたりした上でこの手口を使われると小火では済まないかもしれません。
「現実的にそこまでやるやついるか?」と思うかもしれませんが、日本の治安の良さと、役所はちゃんとやってるだろうという幻想によって起きていないだけではないでしょうか。
盗難のリスク
また、単純にモノや書類が盗まれるリスクもあります。
ハッキリ言って、たしかに金目のものはほとんどないです。
今どき、ほとんど現金を直接扱うことはないですし、仮にあったとしても、さすがに金庫などに保管します。
しかし、パソコンなどの事務用品はデスクに置いてありますし、書類も山のようにあります。
上記のとおり、監視カメラも無ければ侵入を防ぐゲートもないですから、土日の庁舎開放日に狙われたら、おそらく泣き寝入りです。
最近は、薄型で軽量化されたパソコンが導入されているケースも多いですし、盗んで売られてしまったらそれなりのお金になるかもしれません。
また、書類についても、個人情報が記載されているようなものは、鍵のかかる書棚に保管している場合も多いですが、多くの書類は普通の書棚に置かれています。
各自のデスクには、担当している業務の書類を置いている場合も多いですし、たとえば入札の情報が書いてある書類をこっそりコピーしたり、盗み見たりなんてこともできなくはありません。
そして、監視カメラもありませんから、そんなことがあったことすら誰も気づけないということになります。
言い出したらキリがありませんが、「結構あぶなくね?」と心配する僕の気持ちが少し伝わったでしょうか?
やっぱり対策にはお金がかかる
とはいえ、「じゃあゲートをつけましょう」とか「監視カメラを設置しましょう」という話にはなかなかならないわけです。
なぜかというと、莫大な予算がかかるからです。
たとえば、ゲートをつけるにしても、場合によっては庁舎の改築工事を行って、建物の構造を変えなければ効果を発揮しないようなケースもあります。
その場合、庁舎に規模にもよりますが、何千万から何億という単位のお金がかかるでしょう。
監視カメラにしたって、隈なく監視するためには何十台も設置する必要があるでしょうし、監視映像を管理するための人件費などのコストも生じます。
自治体のお金のことについては、以前、記事に書いたこともあるのですが、基本的に、収入は減り続けるけど支出は増えていく、という状態なので、何かに新しくお金を使うときは、何かを減らさないといけません。
なので、緊急性が高くないと、何かの事業を削って予算を生み出そうとったような本格的な動きには繋がりにくいのです。
これまでに何も起きていないのであれば、優先度は高くないと判断され、別の事業に予算を割きましょうという話になります。
役所では、実際に何か事件が起きないと、本腰を入れて対策を検討しはじめないということがよくあるのです。
直接言うより議員に相談すべし
こちらの記事でも書いたんですが、もしあなたが、この問題を重要だと考えて、市に訴えようと思っても、直接担当部署に電話をしない方がいいと思います。
なぜなら、徒労に終わる可能性が高いからです。
こういう問題は、住民の代表である市議会議員に相談し、議員経由で市に相談したほうが、実現に向けて動き出す可能性が高まります。
市役所にとって、議員の発言は重いんです。
もちろん、何でもかんでも好き勝手なことを相談してもいいということではないですが、やはり選挙で選ばれた代表者から伝わった方が、重みがましますよね。
せっかく選挙で選んだんですから、活用しない手はないですよね。
今日は、市役所時代に感じた素朴な疑問について書きましたが、あなたはどのように感じましたか?
[voice icon=”https://keshigomteki-blog.work/wp-content/uploads/2019/04/ac187f8554eb5ea799e9e73a626d14f6.jpg” name=”消しゴム的存在” type=”l”]最後まで読んでいただきありがとうございました![/voice]